いつでも安全・安心な高速道路を 「黄パト」こと道路巡回車のお仕事とは?

いつでも安全・安心な高速道路を
「黄パト」こと道路巡回車のお仕事とは?

2026/04/01

高速道路を走る黄色いパトロールカー、“黄パト”こと道路巡回車。NEXCO東日本が管轄する全ての黄パトの年間走行距離を合わせると、なんと約2,400万km!地球から月まで60回行ける距離。1日当たり地球1周半も走っているんですね。

今回は、24時間365日高速道路を“走り、守る”ことで、生産・物流を動かす“黄パト”が高速道路でどのような活動をしているか深掘りしていきます。株式会社ネクスコ・パトロール関東 水戸事業所の根本副所長、小松隊員に話を聞きました。

株式会社ネクスコ・パトロール関東 水戸事業所 根本(ねもと) 孝二(こうじ)副所長
株式会社ネクスコ・パトロール関東 水戸事業所
根本ねもと孝二こうじ副所長

2000年11月入社。2023年10月より水戸事業所副所長となり、2026年4月からは日立事業所長を務める。

株式会社ネクスコ・パトロール関東 水戸事業所 根本(ねもと) 孝二(こうじ)副所長
株式会社ネクスコ・パトロール関東 水戸事業所
小松こまつ俊哉しゅんや隊員

2020年12月入社。水戸事業所に配属され、交通管理巡回業務にあたる。

目次 

釘2000本にプレハブ小屋? 高速道路を守る黄パトが遭遇した落下物

本日は、高速道路の利用者が一度は見たことがあるであろう“黄パト”について深掘りしたいです。まず、どのような業務を行っているのか教えてください。

(左から)根本副所長、小松隊員
(左から)根本副所長、小松隊員
根本副所長
根本

黄パトの仕事は大きく分けて、「道路巡回」「落下物の回収作業」「事故や故障車処理」の3つです。高速道路の流れを止めず、安全・安心に利用していただくために、日々業務に従事しています。

あの車両には何を搭載しているのですか?

根本副所長
根本

基本的には、交通規制に必要な機材を搭載しています。「標準装備品」と呼ばれるもので、交通規制をするための警告旗、カラーコーンや発炎筒、落下物を除去するブラシ、陥没した箇所を修復するための合材やスコップなど、巡回中に何があってもいいように準備しているんです。

黄パトの搭載機材
小松隊員
小松

標準装備品のほかに、地域ごとで搭載されている機材が変わってくることも。水戸事業所の場合、東海村に原子力発電所があるため、もしもに備えて防護服が搭載されています。

地域ごとに搭載する機材が変わるんですね。

根本副所長
根本

単に搭載しているだけではなく、いざという時に使えなければ意味がありません。年に一度は防護服の着脱訓練を行っています。

高速道路の安全を守るために欠かせない訓練ですね。ちなみに、道路巡回の際はお二人が一緒に黄パトに乗ることもあるのでしょうか?

根本副所長
根本

はい、我々二人で乗車することもありますよ。黄パトには基本的に二人一組で乗りますが、いつも同じペアではありません。シフト制で働いているので、その日ごとに相方が変わります。

一定のペアではないんですね。どのように役割分担されているのでしょうか?

小松隊員
小松隊員
小松

落下物や障害物を発見した際には、それぞれの役割が決まっています。路肩に停めた場合は、助手席に座っていた人が先に降りて通行車の誘導のために警告旗を降る役を、運転席に座っていた人が作業者として落下物の処理を担当します。追越車線に停めた場合は、役割が入れ替わります。

現場の状況によって異なるのですね。道路巡回で、よく見かける落下物はどんなものでしょうか?

小松隊員
小松

プラスチック・ビニール・布類が多く、続いてタイヤがバーストした際に出る破片や、トラックの荷台に乗せていた脚立や工具が多いですね。あとは釘やビスなどもあり、小さいですが、とても危険な落下物です。

釘、ですか?

根本副所長
根本

釘は1本でも危険ですが、箱ごと落ちて1000〜2000本ほど散乱していたこともあります。

小松隊員
小松

巡回中に見つけたら、1人が通行車の誘導を行い、もう1人が釘をすべて回収しなければいけないので、なかなか時間もかかってしまいますよね。

落下物処理中の黄パト
落下物の処理中には、後ろの車に知らせるために表示を掲示します

逆に、これまでで一番驚いた珍しい落下物は何ですか?

小松隊員
小松

プレハブ小屋が落ちていたことがありましたよね。

根本副所長
根本

あったね。プレハブがぴったり路肩に落ちてはまっていたので、路上障害物として交通規制対応を行いましたが、本当にびっくりしましたね。私たちだけではどうやっても動かせず、落とし主が回収しに戻るまで待つしかありませんでした。

車線が規制されるくらい大きなものだったのですね……。ラジオの交通情報で落下物のニュースを聞くことがありますが、その裏で隊員の皆さんが対応していると想像すると感謝の気持ちでいっぱいになります。

根本副所長
根本

そう言っていただけると、私たちもうれしいです。昨今は、交通事故処理中に規制内へ突入してくる車を、AI画像検知によって察知し大きなサイレンを鳴らしてくれる仕組みが導入されるなど、テクノロジーの発展によって私たちの仕事も日々進化しています。

小松隊員
小松

巡回記録も、交通巡回記録システム「パトレコ」の導入によって、タブレットで簡単に作成できるようになり、タイムリーかつ効率的に、管制センターと連携できるようになりました。根本副所長の時代は手書きだったんですよね?

根本副所長
根本

そうです。昔は全部手書きで報告書を書いていました。

報告書を書く頻度から考えると、手書きとタブレットではかなり業務効率化が進んでいますね。

根本副所長
根本

多い時は10枚ほど書いていたこともあったので、スマホだけで完結できるようになって、とても便利になりました。

黄パト隊員に欠かせないのは、ゼロから鍛え抜く底力と慌てない気持ち

お二人がお仕事をしていくなかで、達成感を感じる瞬間を教えてください。

根本副所長
根本副所長
根本

私たち隊員は、交通事故が起こったら真っ先に現場に急行しなければなりません。無事に対応を終えて、相方とともに事務所に戻って来られた時は、達成感というより安堵の気持ちになりますね。

小松隊員
小松

私も達成感よりも、ホッとできる瞬間のほうが多いですね。道路巡回を事故なく無事に終えられるだけで「何事もなくてよかったね」とうれしくなります。

素敵です。お二人が苦労したことはどんなことでしょうか?

根本副所長
根本

入社後にあった事故処理訓練は苦労しました。訓練施設で、高速道路での事故現場を想定した事故処理の訓練を行うのですが、訓練とはいえ全てが初めての経験。事故が起こったときに、何をどう進めるのが良いのか分からないことだらけだったんです。何度も訓練を繰り返し、経験ゼロから体に覚え込ませていくことが最も苦労しました。

小松隊員
小松

確かに、それまでの人生で事故現場に遭遇することなんて滅多にないでしょうから、分からないことばかりですよね。私は前職が警察官で、事故処理の訓練は多少経験があったのですが、何より大変だったのは高速道路での運転です。警察官の頃は業務で高速道路上を運転することはなくて、正直、慣れるまでは運転が怖かったですね。

黄パト隊員が持っておきたい心がけはどんなことでしょうか? こんな人が向いているということがあれば教えてください。

黄パト
根本副所長
根本

高速道路を横断することもあるので、機敏さ……でしょうか? 黄パト隊員は、訓練と経験を重ねて作り上げていく職業だと思っています。もともとの機敏さ以上に、経験ゼロから鍛え上げていく力を持っている人が向いているのではないかと思います。

小松隊員
小松

高速道路は常にハイスピードな車が走っている場所なので、慌てないことかと思います。また、怪我人や助けを求めている人を相手にすることも。自分自身が障害物にならないよう、何事もひと呼吸おいてから対応するように心がけています。慌てずに落ち着いて行動できる人が隊員に向いているのかもしれません。

最後になりますが、お二人を動かす「原動力」を教えてください。

小松隊員
小松

かっこいいことを言いたいのですが……趣味を思いっきり楽しむことかな? この仕事は、プライベートと仕事のメリハリがつけられるので、「仕事をがんばって、趣味を楽しむぞ!」という気持ちが原動力になっています。

どのような趣味が原動力になっていますか?

小松隊員
小松

いろいろとありますが、最近はバイクとカメラです。昔はサーフィンも好きだったのですが、日焼けが気になっちゃって……。

黄パト
根本副所長
根本

休みの日にサッカーしている俺のことを言ってる?

小松隊員
小松

違いますよ(笑)。根本副所長の原動力も教えてください!

根本副所長
根本

原動力は、家族ですね。

素敵です!

根本副所長
根本

稼がないと怒られちゃうので(笑)。あと、我々の仕事は絶対に一人ではできません。一緒に黄パトで働く相方も大切な存在なので、お互いと高速道路を見守りながら安全・安心を届けていきたいですね。

まとめ

黄パトに乗る隊員の姿

高速道路では、たった1つの落下物が大きな事故につながり、ひいては生産・物流にまで影響を及ぼしかねません。24時間365日走り続ける黄パトは、いつでも安全・安心な高速道路を動かしていくためにも欠かせない存在であることがよく分かりました。

高速道路で黄パトを見かけた時には、隊員のことを思い出してくれたら嬉しいです。