TWSによるトンネルの急速施工

 標準的なトンネル工事の場合、削孔・発破(または掘削)、ずり出し、鋼アーチ支保工建て込み、吹付けコンクリート施工、ロックボルト打設という各独立した作業工程の繰り返しです。これらの各作業における施工機械は独立しているため、トンネル内の限られた空間では、機械配置・配列などの施工性や安全性、作業環境などの問題から同時作業が不可能でした。このため、各作業工程毎に施工機械の入れ替えが生じ、掘進速度向上の制約となっていました。最近、ガントリー(台車)に削孔機、吹付け機、支保工用エレクターを搭載し、前述の作業ロスを軽減することにより掘進速度を上げている事例が多く見られるようになってきました。

 NEXCO東日本では、これらの施工事例を受けて、より効率的なトンネル掘削を目指し、NTL(コンクリート用全周型枠)などを搭載した機械掘削方式の多機能型全断面掘削機(TWS)を開発し、泥岩トンネルを対象に、北陸自動車道山王トンネルのII期線工事で試験工事を実施しました。この工事では、I期線施工の約2倍の進行速度で急速施工が実現できました。

 今後は、この試験施工結果の評価をもとに、汎用性のあるTWSの検討・開発を進めるとともに適用トンネルの拡大を図っていきます。

北陸自動車道 山王トンネル(II期線)に用いたTWSの写真
北陸自動車道  山王トンネル(II期線)に用いたTWS
TWS(山王丸)の掘進経緯のイメージ画像1

TWS(山王丸)の掘進経緯

TWS(山王丸)の掘進経緯のイメージ画像2

TWS(山王丸)の掘進経緯