安全を支え、物流を動かす――除雪作業に挑む2人に迫る

安全を支え、物流を動かす──
除雪作業に挑む2人に迫る

2026/04/01

日本有数の豪雪地、新潟県。例年11月末から3月末ごろまで雪が降る地域です。そのような環境下でも高速道路上の安全・安心が守られ、生産と物流が動いている背景には、24時間体制で雪と戦う “除雪作業”があります。

高速道路で行われる除雪作業や、仕事のやりがい・想いについて、ネクスコ・メンテナンス新潟の朝妻大樹さんと黒﨑光星さんにお話を伺いました。

ネクスコ・メンテナンス新潟 湯沢事業所保全課 朝妻大樹(あさつまたいき)さん
ネクスコ・メンテナンス新潟 湯沢事業所保全課
朝妻あさつま大樹たいきさん

2016年入社。2022年に湯沢事業所保全課配属。2024年7月からは保全一課として道路の安全と快適性を維持するメンテナンス業務を専門に行う。

ネクスコ・メンテナンス新潟 湯沢事業所保全課 黒﨑光星(くろさきこうせい)さん
ネクスコ・メンテナンス新潟 湯沢事業所保全課
黒﨑くろさき光星こうせいさん

2020年入社。2023年から現在の湯沢事業所保全第二課に配属。現在の主な担当業務は、橋梁系の小補修工事。朝妻さんと共に事故対応や除雪作業にも取り組んでいる。

目次 

巨大な除雪トラックや雪を吹き飛ばすロータリー車が出動 24時間体制の除雪作業

まず始めに、ネクスコ・メンテナンス新潟の業務内容について教えてください。

(左から)黒崎さん、朝妻さん
(左から)黒﨑さん、朝妻さん
朝妻さん
朝妻

新潟県内の高速道路を安心かつ、快適にご利用いただけるように、24時間365日体制で維持・管理に努めています。私が所属する保全一課では、道路や排水溝の清掃や、本線の植栽作業、休憩施設の草木・芝生の管理などを行っています。

黒﨑さん
黒﨑

私は補修工事を担当していて、高速道路内の橋の修繕がメインです。高速道路自体が建築されてから50年以上が経過しているので、経年劣化している箇所がないか、細かくチェックしています。

朝妻さん
朝妻

例年、季節ごとに行う業務もあります。例えば、夏場になると、県内外から長岡の花火大会を目的に高速道路を利用する方が多くなるので、サービスエリアに仮設トイレを設置したり、車を誘導したりしています。

秋は一年の仕事を整理する時期。道路上の舗装が悪くなっていないかチェックしながら、冬に向けて道路を整備しています。そして、特に忙しくなるのが、冬から春にかけて行う除雪作業です。

豪雪地帯ですから、メインの業務はやはり除雪作業なのですね。除雪作業の流れを教えてください。

黒﨑さん
黒﨑さん
黒﨑

NEXCO東日本所属の雪氷班長から、弊社の作業指示者が除雪指示を受け、各基地の除雪作業をグループ会社に依頼しています。

指示の内容は、朝と夜の一日2回、現状の天気予報からどういった体制を取るべきかを、本部がある事業所の防災対策室で判断しています。気象情報提供企業を含めたWeb会議を開き、隣接する長岡や上越など各管理事務所にも一括で説明します。

朝妻さん
朝妻

私たちの具体的な業務は、主に防災対策室から電話で各基地への作業依頼、各除雪編成と無線機による作業時間、追加作業依頼、トンネル走行時の速度規制の必要有無確認などです。

そのほか、パソコンを利用して作業の稼働時間記録、各基地の月ごとの稼働時間を集計し、支払い金額を算出して請求するといったデスクワークもあります。

現場で除雪にあたるというよりは、指示を出す役目でしょうか。

黒﨑さん
黒﨑

はい、私たちの仕事は指示所での作業がメインです。24時間体制なので、入れ替わりながら担当しています。

朝妻さん
朝妻

災害級の異常降雪など、場合によっては私たちも直接現地に行くこともありますよ。緊急時は本線閉鎖になるので、現地で集中除雪に参加します。「現場の人手が足りない」「除雪車が足りない」というときに、自分たちで車両や機材を準備して作業します。

除雪に使う車には、どんなものがありますか?

除雪トラック
前部の大きな排雪板で雪を除去する「除雪トラック」 
車体前部との重量バランスを取るため、後部には「カウンターウェイト」という重りを設置しています
朝妻さん
朝妻

除雪作業を担っているのは、大型トラックに除雪用の機能を搭載した「除雪トラック」です。常に3台ほどのグループで作業を行い、追い越し車線から路肩へ雪を排雪していきます。

ロータリー車
ロータリー車
朝妻さん
朝妻

そのほか、車両前方の「オーガ」という回転式の装置で雪をかき込み、排雪用のシュートから雪を飛ばす「ロータリー車」や、本線の凍結を防止するために車両湿塩散布装置を積載した「凍結防止剤散布車」も稼働します。

標識車
標識車
朝妻さん
朝妻

編成の最後尾には大型電光表示板を搭載した「標識車」が走り、一般車へ後尾警戒を実施しています。除雪トラックと標識車のみだったり、除雪トラック、凍結防止剤散布車、標識車の3種類で編成されたりすることもありますが、最後尾は必ず標識車が走り、皆さんの安全を担っています。

黒﨑さん
黒﨑

除雪トラックの排雪板でも動かすことができない固まった雪は、除雪トラックの中腹に備えたソリも使って取り切るなど、工夫を凝らしています。

さまざまな種類の車が稼働しているんですね。今後、除雪作業に取り入れる予定の最新技術はありますか?

朝妻さん
朝妻

除雪トラックのオペレーターをワンマン化できるよう、自動運転技術の利用を目指しています。まだまだ運用段階ではありませんが、近い将来実現されるはずです。

黒﨑さん
黒﨑

除雪作業の自動運転化が実現できれば、本来多くの人員が必要となる除雪作業を一人で完結できるようになり、一人あたりの作業量を大幅に減らすことが期待できます。

朝妻さん
朝妻

私たちのような土木業界は、若い人の就業率が年々下がっている現状がありまして。除雪車を運転できるようになるのにもある程度の年数がかかりますから、なるべくワンマン化、自動運転化を推進できないだろうかと動き出しています。

「物流は体の血管と同じ」 高速道路の流れを止めないために

日々の業務で、やりがいを感じる瞬間はありますか?

朝妻さん
朝妻さん
朝妻

この仕事は、2025年2月の異常降雪時のように、緊迫した状況に直面することもあります。本線の通行を止め、障害になる雪を全て排雪して、大型トレーラーや一般車も無事に通ることを確認できたときは「物流を支えている」という実感が湧きますね。

「物流は体の血管と同じ」と表現されることもありますが、確かに線が狭くなればなるほど通れる物流が減るので、正常な状態に戻せた時には、達成感と「守れた」というやりがいを感じます。

除雪トラックを背景に働く朝妻さんたち
黒﨑さん
黒﨑

新卒で入社した当時は、右も左も分からない状態でしたが、年齢や経験を重ねて周囲を広く見渡せるようになってきました。自分が出した指示で現場の問題が解決し、お客さまの笑顔が見られたり感謝の言葉をいただけたりすると、「この仕事をしていてよかった」と強く思います。

まとめ

除雪トラックに乗る朝妻さんたち

どんなに雪が降り積もっても必ず通れる道を目指して、作業員が無線から指示を出し、除雪トラックが夜を徹して作業を続けています。

ひとつひとつの作業の積み重ねが高速道路を支え、日用品や食品など、暮らしに必要なあらゆる物が今日も全国各地へ渡っていることが分かりました。

物流を止めないため。そして、地域の暮らしを守るため。高速道路を守る除雪作業は、冬季間休むことなく、静かに、しかし確実に続いています。