渋滞予測チャレンジコンテストの開催(結果)

~高速料金・ルート検索データを活用した高速道路の渋滞予測高度化への挑戦~

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2023年7月26日
東日本高速道路株式会社
東京大学大学院情報学環

 NEXCO東日本(東京都千代田区)と東京大学大学院情報学環(東京都文京区)は、本年1月から実施していた渋滞予測モデル精度などを競う『渋滞予測チャレンジコンテスト(2023年1月25日発表)(以下、「コンテスト」)』の最終審査及び表彰式を7月6日に開催しました。
 コンテストでは、モデル精度などを競うモデリング部門に163件、データを活用した新規サービスを提案するアイデア部門に23件の応募があり、この中からモデリング部門3名と、アイデア部門2名の入賞者を決定しました。

モデリング部門入賞者の写真
モデリング部門入賞者
アイデア部門入賞者の写真
アイデア部門入賞者

1.チャレンジコンテストの結果

モデリング部門:
当社から提供するデータ(交通量や渋滞の実績データ、ルート検索データ等)を基に渋滞予測アルゴリズムを開発し、2023年4月1日~5月7日間の指定日における予測と実績の乖離が少ない精度の高いモデルを構築した上位3名の方を精度賞として表彰するとともに、その中からルート検索データを活用した最も優れたアルゴリズムを開発した方をモデリング賞として表彰しました。

モデリング部門の入賞者は次のとおりです。

精度賞

ユーザーID 開発モデルの特徴 予測精度
1位 yim 学習データ数を確保するデータ拡張を行うとともに複数のモデルを作成しその平均値を取るモデル 0.61235
2位 team_try 休日パターンや前日及び前の時間帯の渋滞予測を反映して次の時間帯を予測する時系列モデル 0.60976
3位 isps737 渋滞の有無による速度差に着目し前日との平均速度差を学習に取り入れたモデル 0.59816
  • 予測精度とは、再現率・適合率の双方を考慮した指標であり、0~1の値をとり、大きな値ほど精度が高いことを示す
    • 再現率:実際に発生した渋滞のうち、渋滞が発生すると予測できた割合
    • 適合率:渋滞が発生すると予測したもののうち、実際に渋滞が発生した割合

モデリング賞

ユーザーID 表彰理由
team_try コンテストの主旨であるルート検索データの活用の観点から、ルート検索データを精度向上に最も反映したモデルを開発したため

審査員コメント(東京大学大学院 情報学環 教授 越塚 登)

 偏りのあるデータに対し、アルゴリズム、あるいはデータ加工で様々な創意工夫を凝らし、短い期間で優れた予測モデルを開発していただきました。発表の予測モデルでは、想定していなかった創造的な最適化・チューニングが行われており、高速道路の渋滞予測の精度向上に向けた、大変興味深いアイデアをいただくことができました。

2.アイデア部門

アイデア部門:
当社から提供するデータ(交通量や渋滞の実績データ等)に加えて、外部のオープンデータも活用し、高速道路における新規サービスなどのアイデアについて、特に優れた提案をされた2名の方をグッドアイデア賞として表彰しました。

アイデア部門の入賞者は次のとおりです。

グッドアイデア賞

ユーザーID アイデア概要
Starmie 急速充電器待ちの渋滞回避を目的に、急速充電器の利用状況や高速道路の通行状況のデータ等を活用し、急速充電器の待ち時間予測をお知らせすることにより利用の分散化を図る
W5EaSD_2016 渋滞回避を目的に、高速道路と一般道の交通状況や周辺の観光地・イベント情報のデータ等を活用し、周辺観光情報を提供することにより周遊観光を促進する

審査員コメント(NEXCO東日本 管理事業本部 ITS推進部長 中西 規祥)

 渋滞時間を楽しむや環境、SA/PA、交通安全などに関する内容について幅広い提案をいただきました。グッドアイデア賞は、ひとつは普及が進む電気自動車への対応についての提案であり課題解決に向けて検討していく必要があると認識しているものです。もうひとつは渋滞回避のため魅力ある観光施設や文化施設など地域とも連携し周遊促進する方策についての提案で、高速道路の利活用に関するものです。
 提案いただいた有効な渋滞予測モデルやアイデアについては、実用化に向け引き続き検討してまいります。

3.審査員

 東京大学大学院 情報学環 教授 越塚 登
 東京大学 空間情報科学研究センター 准教授 澁谷 遊野
 モビリティジャーナリスト 楠田 悦子
 NEXCO総研 交通環境研究部 交通研究担当部長 邢 健シン ジャン
 NEXCO東日本 管理事業本部 ITS推進部長 中西 規祥

4.チャレンジコンテストとは

 本コンテストは、NEXCO東日本と東京大学大学院情報学環が、2011年に締結した『情報社会基盤に関する研究協力協定』に基づいた、「データ利活用の取り組みに関する共同研究」の一環です。
 NEXCO東日本が、より安全・安心な交通の未来を作るために取り組んでいることの1つが渋滞予測です。渋滞に関する研究は、発生原因・緩和の方法などが見つかっているものの、予測を行う実務では長年の経験に則した予測を行っています。本コンテストは、弊社の掲げる「自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)」(2021年4月28日発表)の重点プロジェクト(6)・(29)の1つとして、ビッグデータの活用による渋滞予測の精度向上を目的とした革新的なデータ分析事例・アイデアを募集するものです。

 NEXCO東日本グループでは、2021~2025年までの期間を「SDGsの達成に貢献し、新たな未来社会に向け変革していく期間」と位置づけ、様々な取組みを行っています。
 今回の渋滞予測チャレンジコンテストの開催については、渋滞緩和による安全な道路空間の提供につながる事業活動としてSDGs目標の3番、9番に貢献するものと考えています。

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALSのロゴとSDGs目標の3番、9番のロゴのイメージ画像
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