持続可能な高速道路提供のためのイノベーション

高速道路の長期保全の確立に向けた取組み(高速道路リニューアルプロジェクト)

NEXCO東日本グループが管理する高速道路約3,940kmのうち約1,760kmが供用を開始してから30~50年程度経過し、利用する大型車も年々増加傾向となっています。さらに全体の約70%が積雪寒冷地を通過し、凍結防止剤散布量は年間約16万トンに及ぶなど、橋やトンネルなどの道路構造物は厳しい環境下におかれており、著しい変状が発生しつつある状況となっています。

これらを踏まえ、高速道路が引き続き経済・社会・医療・防災などの社会基盤を支える日本の大動脈として役割を果たしていくために、道路構造物の大規模更新・修繕事業について2015年度より着手しました。また、この大規模更新・修繕事業の必要性をさらに浸透させることを目的として、各高速道路会社で共通する事業呼称を「高速道路リニューアルプロジェクト」とし、ロゴも制作しました。

今後、高速道路リニューアルプロジェクトが本格化し、各地域において対面通行や通行止めなど大規模な交通規制を伴う工事を実施していきます。工事期間を短縮するための新技術の採用や、交通特性に合わせた車線運用が可能な移動式防護柵(Road Zipper® System)の活用などにより、事業に伴うお客さまへの影響を最小限にします。また、お客さまに十分理解されるよう他の高速道路会社と連携し、事業理解および工事告知の広報展開を実施していきます。

高速道路リニューアルプロジェクトロゴのイメージ画像

高速道路の長期保全の確立に向けた取組みの写真1
高速道路の長期保全の確立に向けた取組みの写真2

『高速道路リニューアルプロジェクト』は、このような工事を行います。

床版の取替アイコンのイメージ画像

床版※の取替

耐久性の高いコンクリート床版へ取り替えます。

  • 床版とは、橋梁を通行する自動車等を直接支え、その荷重を桁へ伝達させる構造部材のことです。
床版取替工事の実例の写真
床版取替工事の実例

床版防水層の施工アイコンのイメージ画像

床版防水層の施工

コンクリート床版の劣化を防止するため、防水層に高性能な床版防水を施工します。


桁の補強アイコンのイメージ画像

桁の補強

耐久性を高めるために、桁に補強部材を取り付けます。


インバート設置アイコンのイメージ画像

インバート※設置

トンネル周辺から過度な力がかかっているトンネルに対して、より強い構造にするため、インバートを設置し、安定性を向上させます。

  • インバートとは、路面の下部に半円形のコンクリートを設置し、トンネル形状を円形にすることで、変形を防止するものです。
インバート設置工事のイメージ画像
対策工事イメージ

グラウンドアンカーの施工アイコンのイメージ画像

グラウンドアンカー※の施工

切土のり面の長期安定性を確保するために、防食性能が高いグラウンドアンカーを施工します。

  • グラウンドアンカーとは、切土のり面が変形状しようとする力を、高強度の鋼棒等を打ち込むことで安定させるものです。
グラウンドアンカー設置工事の写真
対策工事イメージ
グラウンドアンカーの増打ちのイメージ画像
グラウンドアンカーの増打ち

SMH(スマートメンテナンスハイウェイ)導入によるイノベーションの実現

SMHとは、高速道路の長期的な「安全・安心」の確保のために、ICTやロボティクスなど最新技術を活用し、高速道路のアセットマネジメントにおける生産性を飛躍的に向上させるプロジェクトです。
第1期(2020年導入)では、インフラ管理の基礎となる「構造物点検」をテーマにSMHを展開します。高解像度カメラや点検ロボット、自走式計測車両等といった点検支援ツールの導入、モバイルPC端末を使った記録作業など、点検作業の効率化を図るとともに、ビジネスインテリジェンスツール(BI)を用いた意思決定プロセスの標準化なども進めていきます。他にも、全周囲道路映像やMR技術といった最新技術も活用していきます。
いよいよ2020年から、高速道路の持続的な提供を目指して、インフラ管理における業務プロセスの変革が始まります。

SMH(スマートメンテナンスハイウェイ)ロゴのイメージ画像

ICT技術などを活用したSMH開発ツールを紹介します。

Road-eyeRのイメージ画像

Road-eye®

交通規制を行うことなく高速走行しながら、舗装路面やトンネル覆工面の損傷を高精度に計測可能。

モバイルPC点検支援システムのイメージ画像

モバイルPC点検支援システム

現地での点検時に、履歴を元にデータ入力が可能。更に現地点検後の登録作業が不要となり、生産性が向上。

PRETES-eのイメージ画像

PRETES-e

MR(複合現実)技術を活用した研修支援ツール。現場の構造物に実際には見えない内部構造を重ねて表示することで理解度が向上。

全周囲道路映像システムのイメージ画像

全周囲道路映像システム

位置情報を持った映像により、現地に行かなくても映像の確認や計測が可能。道路管理に必要な情報タグを登録するなど映像情報基盤として活用。

BIによる点検データの可視化のイメージ画像

BIによる点検データの可視化

Power BIを活用した点検データの可視化や、補修計画検討における意思決定判断を支援

詳しくは解説動画をご覧ください。